またやり直しだとおおお!
なんでオレはこんなに仕事ができないんだ…トホホ。
論理的に考えなさいとか、無理なんだよ。
論理的思考力がないのなら、もう頭の中で考えるのはやめてみたら?
テーマを中央に置いて、そこから放射状にキーワードやイメージを広げていく表現方法なんだけど。
近頃はITツールとしてビジネスシーンでも活用されていて、論理的思考が苦手な人ほど効果があるらしいよ。
マインドマップというのは人間の脳の構造に近い形で設計されており、複雑な思考をサポートする効果が期待できます。
特に強調したいのは、仕事、それも何かを始める「起点」において、マインドマップが絶大な威力を発揮することです。
私はIT企業で人事企画課長をしており、人や組織にまつわる複雑な問題に日々巻き込まれています。
同じビジネスパーソンの皆さんも、様々な困難に立ち向かっていることと思いますが、私は “課題解決の7割は「起点」で決まる” と考えています。
「起点」というのは、上司からの指示、他部署からの依頼、あるいは自分自身が問題発見した場合など、仕事の取っ掛かり部分のことです。
「起点」を制するためには、複雑に絡み合う事象を解読し、本当にやるべきこと(=本質)を特定する必要があります。
マインドマップは、この超重要プロセスとの相性が抜群なのです。
具体的には、以下4点をマインドマップで導き出します。
- 目的
- 段取り
- 課題
- 打ち手
本記事では、各プロセスにおいて、マインドマップの有効性に焦点を当てながら、活用方法を解説していきます。
目次
マインドマップの活用方法:仕事の起点を制する
1.目的
仕事の起点 of 起点です。
あえてシンプルな例を挙げてみます。
とある営業部にて。火曜日の午前10時、眉間にシワを寄せた部長(上司)から「お前、もっと架電数を増やさないと駄目だぞ!」と言われたとします。
ここで「押忍!」と言って、受話器に手を掛けるようでは、期待に応えるのは難しいです。(サラリーマンとしては半分正解ですが…)
私なら、まずマインドマップを立ち上げて、1つ目のメイントピックに目的を置きます。但し、現時点では不明瞭なので「?」でOKです。
そこから枝を伸ばして、トピックを追加します。こちらには、先ほど部長から言われので、一旦「架電数を増やす」と入れておきます。
ここで、なぜ部長は急にそんなことを言ったのかと考えてみます。
あれ、そういえば部長、さっきまで業績確認ミーティングに出席していたな。
もしや、他チームに遅れを取っていることが明らかになり、上から注意されたとか?
なんとなく目的が見えたので、もともと「?」と置いていたメイントピックに「営業部の業績アップ」と入れます。
まだ具体的な数字と期限は分からないので、このくらいざっくりで問題ありません。
そうすると、目的である「営業部の業績アップ」に対して、先ほど部長から言われた「架電数を増やす」というのは、繋がってはいるけど唐突感がありますよね。
整合性を確認するために、その間をマインドマップで埋めていきます。
で、さっき言われた架電数というのは成約数に効いていくるはずなんだけど、架電してもアポが取れるとは限らないな…ふむ。
では提案数という項目を置いて、内訳をアポ取得率と架電数にしよう。
このような思考ワークは、頭の中でぐるぐる考えるよりも、マインドマップをカチャカチャいじりながらやる方が圧倒的に捗ります。
ここまで整理できれば、あとは部長とアラインする(認識を合わせる)だけです。
詳しくはこちらの記事で解説しているので、ご覧ください。
次のプロセス「段取り」に続きます。
2.段取り
段取りとは、「前さばき」や「ロジ」など馴染みのある言葉に変換していただいて結構です。
やるべきことは以下の通りです。
- 目的のアライン
- 関係者の洗い出し
- スケジュールの策定
本記事ではそれぞれの詳細は割愛しますが、つまるところやりたいのは、ゴールを見据え、プロセスを想像し、事前に必要な手配をしておくことです。
滞りなく目標達成するために、あらかじめ道を舗装しておくイメージです。
目的のアライン
目的のアラインは、前項のマインドマップで整理した内容をベースに部長と話し、認識を合わせます。
今回のケースでは、以下のようなことが握れていればOKです。
- 最終目的は、営業部の売上を●,●●●万円達成することである認識だが、合っているか?
- そのために、個人売上を●●●万円達成すれば良い認識だが、合っているか?
- そのために、架電数を含めて何をどうするかという戦略は自身に委ねられている認識だが、合っているか?
関係者の洗い出し
関係者の洗い出しは、その目的を達成するために誰の承認が必要か、つまり誰が「ウン、OK!」と言えば良いのかです。
まず、業績評価をはじめ、自分の人事権を握っているのは部長ですよね。
あとは、もともと「架電を増やしなさい!」と指示してきたのは部長ですが、その間により密接に関わる上司(課長など)がいたりしますよね。
こういう近い人が、実際に取組状況を見ていたり、仕事を振ってきたりするので、リストアップしておきましょう。
そして忘れてはいけないのが、顧客ですね。
社内での目標設定や決裁についてはそれで良いのですが、売上が立つかどうかは顧客が「ウン」と言うかどうかなので、重要なステークホルダーとして挙げておきます。
マインドマップで考える際、【社内⇔社外】といったように、対になる要素を打ち込んでみると、漏れがなくなるのでおすすめです。
スケジュールの策定
スケジュールの策定は、期限から逆算してマイルストーンを置き、関係者との予定を仮で設定してしまうことです。
今回のケースは関係者が少ないので不要ですが、社内で大きな稟議を通す場合は必要です。
例えば、”経営指標の変更に伴う人事評価項目の見直しについて決裁する” 場合、以下のように書き出します。
まず、意見をもらったり同意を得るための「確認」と、会社として意思決定する「決裁」に分けました。
その上で、部内(身内)なのか、そうでないのかで分け、ターゲットを選定し、日程をプロットします。
このようにマインドマップで構造化しながら考えると、「それならあの人の確認も必要だな」とか「これじゃ日程がタイトすぎるな」という気づきが得られやすいです。
「何をどうするか」といった具体策が決まっていないのに、関係者を洗い出したりスケジュールを組んでしまうのは、気持ちが悪いかもしれません。
しかし、仕事には締切があり、何かを意思決定できるのは役職者で、そういう偉い人はだいたい忙しい、というのがこの世界の真理です。
せっかく素敵なソリューションを考案しても、「役員のスケジュール取れなかったので決裁できませんでした★テヘ」というのは残念すぎます。
詳しくはこちらの記事で解説しているので、ご覧ください。
3.課題
目的をアラインし、段取りが整ったら、ここからは創造性をフルに発揮するフェーズです。
ここでやるのは、本当に解くべき課題を特定することです。
本当に解くべき課題とは、相対的に “少ないリソース” で “大きなインパクト” が “短期間” で出るものです。
先ほど売上を要素分解していきましたが、これらの数字を片っ端から引き上げるのは現実的ではありません。
繰り返しになりますが、仕事には期限があります。
結婚したいからといって北海道の異性から順番にプロポーズしていったら、山形あたりでヨボヨボになっちゃいますよね。
では、マインドマップで何ができるのか。
今やりたいことは、本当に解くべき課題は何か、つまり各要素のうちどのスイッチを押すべきかを判断することです。
従って、判断しやすいように今ある情報をプロットしていきます。
ここからは仮説設定です。
各要素に対して、とにかく思ったことをメモしていきます。
すると、以下のような示唆が出ました。
- はじめに部長から架電数を増やすように言われたが、リソースだけ無駄に掛かりそう
- アポ取得率は伸びしろがなさそう
- 単価は自分ではコントロールしにくいのであてにしない方がよさそう
- 成約率は+5Pであればポテンシャルありそう!(他の数値が一定なら成約率25%で目標達成できる)
言うまでもなく、成約率を解きに行くのがよさそうなので、こちらを課題設定します。
詳しくはこちらの記事で解説しているので、ご覧ください。
4.打ち手
最後になります。
課題を特定したら、筋の良い打ち手を創出します。
こちらの選定基準も、課題と同様、相対的に “少ないリソース” で “大きなインパクト” が “短期間” で出るものです。
またモクモクと思考を書き出してみます。
すると、以下のような示唆が出ました。
- 提案数は少ないが成約率が高い同僚がいる
- みんなアポを取るのに必死なので、顧客の選り好みをしている余裕はないはず
- そうなると、提案の質が高いということになる
- 過去の経験から、自社製品の欠点の捉え方・伝え方に課題があるのかもしれない
- 顧客の抵抗感をいかに克服するか、という視点で、同僚のアポに同席させてもらおう
仮説を持った上で、実際にこの目で見に行くというのは、リソースや時間も掛かりませんし、そこで成約率アップのヒントが得られればインパクトも大きいですよね。
部長には既に目的を共有しているので、このストーリーを話せば難なく承認してもらえるはず。
詳しくはこちらの記事で解説しているので、ご覧ください。
マインドマップの導入方法:おすすめはMindMeister
ここまで読んでいただいた方は、きっとマインドマップで触ってみたくてウズウズしているかと思います。
ということで、最後に導入方法を共有します。
マインドマップはいくつか種類がありますが、結論はMindMeisterがおすすめです。
理由は、創造性を促進するような優しいUIと、Googleアカウントがあれば複数人で同時編集できる点です。
前者については、正直なところ好みによりますが、使っている時の心地良さは目的に照らしても重要です。
本来は億劫な作業でも、ついつい触りたくなるUIなので、いつも自然と開いてしまいます。
後者については、ゆくゆく大きなメリットになってくるため挙げています。
皆さんがマインドマップを使いこなせるようになった時、誰かにシェアしたいとか、一緒に議論したいという気持ちになるはずです。
その時、画面共有やキャプチャを貼り付けるのでは伝わりにくいですし、そこで可能性を狭めてしまうのは勿体ないと思います。
一方、デメリットは、無料版は3つまでしかマップを作れないという点です。
私は有料版(パーソナル:一年一括払い、¥7,128)を利用していますが、まずは無料版で試してから移行判断してみてはいかがでしょうか。
以上、論理的思考が苦手な人に向けて、仕事のプロセスに沿ったマインドマップの活用方法を解説しました。
しかしながら、いくらスキルを磨いても “それを発揮できないほど劣悪な職場環境” で働く人もいるでしょう。
そのような場合は、こちらの記事を参考にして、まずは心にゆとりを持つようにしてください。