仕事の手戻りが多くて悩んでいるサラリーマン&サラリーウーマンの皆様。
こんな経験はないでしょうか。
解決策を検討し、上司の承認を得るために夜な夜な資料作成し、いざプレゼンしてみたら「他も検討してみて」と不発に終わる…あるあるですよね。
目的をアラインした上で、段取りをつけて、本当に解くべき課題を特定しても、打ち手がダメなら水の泡です。
完璧に狙いを定めても、投げ込む “球” が不完全なら的を射ることはできません。
筋の良い打ち手とは、相対的に “少ないリソース” で “大きなインパクト” が “短期間” で出るものです。
ビジネスでは時間・労力に限りがあるため、課題を解決できればヨシではなく、これらのリソースを最小限に抑えつつ大きなインパクトを出すことが求められます。
つまり、いくつかの打ち手を “創案” した後に、何をどのように実行するか “選定” することになるのですが、そのプロセスにマインドマップが非常に有効です。
マインドマップとは、テーマを中央に置き、そこから放射状にキーワードやイメージを広げていく表現方法です。
私はIT企業で人事企画課長をしており、特に人事制度や全社施策といった大きいプロジェクトに向けた準備では必ずマインドマップを活用しています。
この記事を最後まで読んでいただければ、筋の良い打ち手を選定する技が身に付きます。
打ち手を創案する
本記事で取り上げるお題は以下の通りです
部長「ジョブ型の雇用制度を導入しなければならない。来月の役員会で決裁するので、すぐに準備して欲しい。」
また、これまでのプロセスで目的は「事業拡大を見据えた人材確保」であること、そのために本当に解くべき課題は「どんな人材がどれくらい必要で、どう確保するのかが不明瞭」であることは分かりました。
今回は最終プロセスとして、その課題に対する筋の良い打ち手を検討していきましょう。
まずは打ち手の創案。ポイントは以下の通りです。
①については、「そもそも課題自体が目的を捉えたものになっているので、目的まで戻らなくても良いのでは?」と疑問に思われるかもしれません。
しかし、リアルな検討の場では、 “課題がワンフレーズに省略されていて文脈が置き去りになりがち” です。
このワンフレーズだけを見つめて打ち手を検討すると、目的から脱線していても気づけません。
最終ゴールは課題解決ではなく、その先の目的達成であることを忘れてはなりません。
②については、オプションの検討漏れをなくす意図があります。
但し、単なる網羅的思考とは異なるという点は、ご注意ください。
網羅的思考とは、とにかく隅々まで検討して、片っ端から着手しようとすることです。
そうではなく、ここでは「課題を解決しうるか」「目的の達成に繋がるか」という条件付きで、漏れなくオプションを出していきます。
それでは、実際にやってみましょう。
打ち手の粒度としては、しっかりブレイクダウンして対処できる状態にしておくのがポイントです。
また、構造化については次のステップで行うので、あまり意識しなくて大丈夫です。
マインドマップなら、後ほどドラッグ&ドロップで簡単に整理できます。
その内訳としてジョブ型の正社員が必要なんじゃないかって話だもんな。
それから各組織ユニットに対してどのように人材配置するのかも決めておかないとね。
次は打ち手の構造化だ!
打ち手を構造化する
現状版を構造化する
現状版と書いている理由は、必ず不足事項があるためです。
それは構造的に捉えることで徐々に見えてくるものなので、いったん着手してみましょう。
確かに “文字通り課題を捉えると” よさそうに見えるが、この打ち手を実行するだけで事業拡大に繋がるのかな?
しかし私の頭では限界かもです。とぅいまてん。
君が描いたマップはあくまで “理想” なんだけど、 “現状” がどうなっているか把握できてないよね。
そして、そのギャップを埋めるものが戦略なのだよおおおおおおんっ!!!
どうすれば目的を達成できるのか、という思考が足りてませんでした。
もう一度チャレンジします!(テンション怖いな)
不足事項を追加する
構造化しながら見えてきた不足事項をマップに追加していきましょう。
そして現状把握として、保有人材を明らかにする必要があるな。
「理想」と「現状」はあくまで前提整理であって、その差分を「戦略」と。
しかし「戦略」ってどうやって書き出せばよいのか…。
人事担当者としては後者の方が大変だろうな~。
組織の方は、経営メンバーと議論しながら体制を考える感じかな。
人材の方は、まず社内メンバーを最適配置すること。それでも賄い切れない部分を採用・育成・評価で対応。また組織の新陳代謝もオプションとして持っておこう。
打ち手を選定する
打ち手を構造化したら、いよいよ最終ステップです。
構造化されたマインドマップを眺めながら、影響関係を見抜き、何をどうすれば “少ないリソース” で “大きなインパクト” が “短期間” で出るのかという視点で、打ち手を選定します。
すると、以下のような示唆が出ました。
- いきなりジョブ型雇用制度を導入しても、人材定義が不十分ではインパクトは出ないだろう
- そもそも制度で局所的に対応しても芯を食った施策にはならないためリソースの無駄遣いである
- 事業拡大に資する理想の組織を明らかにしないことには何も始まらない
- 現状については、人材のスキル・能力・適性をどのような切り口で把握したいかによって集計方法が変わってくる
- 一方で、集計方法さえ決まればギャップ分析も含めて短期間で実行できる
- 従って、まずは理想の組織を明らかにすることから着手し、人材要件が見えてきた段階で保有人材の調査を開始し、理想と現状の差分が明らかになったら人材戦略に落とし込み、各施策の検討に入る
- 各施策レベルでの打ち手の選定は追って対応する
理想の組織、そして人材要件を明らかにするのは、一見遠回りだけど、このように全体観で判断すると真っ先にやるべきだと分かりますね。
もし当初のお題を鵜呑みにしていたら、そもそも議論がまとまりませんし、制度導入できたとしても投入したリソース・時間のわりにインパクトが出ないという結果だったでしょう。
以上、マインドマップを活用した筋の良い打ち手の選定について解説しました。
これで、目的→段取り→課題→打ち手という仕事の起点を制することができました。
後は実行するのみです。
もし実行フェーズで重要となる “会議進行” に苦手意識がある方は、こちらの記事を参考にしてみてください。
ここまで読んで「自分もマインドマップを使ってみたい!」と思った方には、MindMeisterがおすすめです。
理由は、創造性を促進するような優しいUIと、Googleアカウントがあれば複数人で同時編集できるためです。
3つまでは無料でマップを作れるので、ぜひ試してみてください!